ギター選びのポイント

1)サイズ

もっとも大切なのは自分にフィットするサイズの楽器を選ぶことです。

ギターのサイズは弦長(ナットからサドルまでの長さ)で表すのですが、標準サイズのギターは弦長を65cmに作られています。しかしこれは、現代のギターの形が生まれたスペインの成人男性向けに合わせて設定されたサイズのため、小柄な方や手が小さめの方にとってはやや大きいサイズです。

よいテクニックを身に付ければ大きめギターの演奏も別に苦にはならないのですが、ちょうど良いサイズの楽器の方がよりラクに演奏できるので、特に初心者の間はちょうどよいサイズのギターを弾くのがおすすめです。

 

小さいサイズのギターには、弦長は63cm、58cm、53cm、48cmなどがあります。 

2)ネックの握った感じと構えた時のフィット感

弦長が同じギターでもネックの太さや幅、断面の形状はギターによって異なるので、実際に楽器を弾いてみて自分にフィットするものを選ぶことが大切です。一般的に、手が小さい方はネックが細い方が弾きやすいのですが、ネック幅が狭すぎると各弦の間隔が狭くなり弾きにくいこともあるので、実際にコードやスケールを弾いてみてネックを握ったときのフィット感を確かめてみましょう。また、ボディーの大きさや厚さも楽器ごとに違うので、構えた時のフィット感も合わせて確認しましょう。

 

3)音色

同じモデルのギターだと音の鳴りはだいたい同じなのですが、音色は1本1本微妙に異なってきます。低音から高音までひととおり弾いてみて、より自分の好みに合った音色の楽器を選ぶようにしましょう。


4)クラシックギターに杉製のものと松製のものがある。

 クラシックギターは、主にボディーが杉で出来ているものと松で出来ているものの2種類があります。音色や見た目を比較して、自分の好みに合った楽器を選ぶようにしましょう*1

一般的に、杉の楽器は温かさと深みのある音、松の楽器は明るさや甘さを持った楽器であることが多いです。また、杉のギターはいわゆるギターの茶色っぽい色をしていますが、松の楽器は白っぽい見た目をしています。 

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耳でチューニングすることは音感を養うためにも大切です。


 ギターの価格帯

ギターは安価なものだと1万円くらいから、高価なものだと数百万円するものまであります。価格の差は、使っている木材の質や制作方法(工場製か手作りか等)、制作家の違いによるものです。もちろん、高価な楽器の方が鳴りがよく豊かな響きを持っていますが、安価なギターの方が壊れやすいなどということはありません。また、日本で流通しているギターは安価なものでも、正しくチューニングできなかったり、フレットが飛び出しているなどの機能的欠陥があることはまずないので、その点は特に心配する必要はありません。

初心者は別に高い楽器を購入しなくて良いのですが、1万円前後のギターは明らかに音が乏しい感じがするので、あまりおすすめできません。3万円~5万円くらいのギターは、ある程度の響きもあり音色も良いのでとりあえず1本ギターが欲しい場合や、成長中のお子さんに購入する場合におすすめです。

ちょっと良い楽器が欲しいという場合は、5万円~10万円前後くらいの楽器を検討されることをおすすめします。メーカーにもよりますが、5万円以上のギターは響きもかなり良く音色も豊かになってくるので十分良い楽器であるといえます。

 

以降、価格が高くなるにつれて使用している木材の質や制作工程のクオリティーはさらによくなり、楽器の響きや音色、各音域の響きのバランスなどにさらに磨きがかかってきます。20万円くらいになると立派な高級ギター、50万円くらいになると個人制作家の工房で作られたギター、100万円くらいになると国内外の著名な制作家によって作られたギターという感じになります。

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大幅に音がずれていると、鳴っている音をチューナーが別の弦として認識してしまうため、うまくチューニングできないことがあります。

そのような場合は、チューナーの音名表示によく注意してチューニングするようにしてください。


 ギターケースについて

ギターを購入する際には合わせてケースの購入についても考える必要があります。2万円~5万円くらいのギターは布製の簡易ケース(数千円くらいのもの)で問題ありません。しかし、それ以上のギターは簡易ケースではもったいないので、セミ・ハード・ケースやハード・ケース(どちらも1万5千円くらいからあります)の使用をおすすめします。


 ギター選びについてのその他のトピック

中古のギターを買う際の注意点

 

中古ギターの購入は、良い楽器が安く手に入ることもあるため、新品へのこだわりがなければ悪くない選択肢です。しかし、一目見ても分からない問題点もあるため注意が必要です。

 

その代表的なのが、ネックの反りです。僅かなら問題はありませんが、大きく反っているとハイ・ポジションの弦高が高くなり押えにくくなっていたり、チューニングが正確に出来ない場合もあります。ネックの反りは多くの修理できないこともあるので購入時に確認しておいた方がよいです。

 

尚、よくあるペグが回りにくいという問題は多くの場合、潤滑オイルをさすことですぐに解決できます。 

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ネックの反りの見極め方・・・

サドルが低いのにハイポジション(12ポジションあたり)の弦高(ネックから弦までの距離)が高い楽器はネックが反っている可能性が高いです。



子ども向けギターの選び方

 

子ども向けにギターを買う場合は、小さいサイズのギターの購入をおすすめします。

 

サイズの小さいギター(いわゆるミニギター)はメーカーによりますがだいたい3段階くらいのサイズがあります。

 

例えば長崎ギター音楽院でも販売しているAria社のものだと弦長が48cm、53cm、58cmのギターがあります。

サイズの目安としては、48cmは小学校低学年向け、53cmは小学校高学年向け、58cmはそれ以降や大人の方にもおすすめする楽器になります。

 

尚、小さいギターは大人になってからも旅行用などとして役に立ちます。

 

また、お子さんの成長を考えて少し大きめの楽器を購入したい場合は、カポタストを使って一時的にサイズ感を小さくすることも可能です。 

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子ども向けギターの弦・・・

大半の場合は子どもむけのギターにも、通常サイズのギターの弦を張ってよいです。弦の張りがゆるくなりますが、その方が押えやすくなるためかえって好都合です。



★フォークギターにナイロン弦を張るオプション

 

フォークギター(いわゆるアコギ)は、弦の張りが比較的強いのと高音弦が鉄で出来ているため、初心者にとっては弦を押える際の指の負担が大きいです。

そのため、初心者の方がフォークギターで練習したい場合には、フォークギター用のナイロン弦(ポール・エンドの着いたナイロン弦)を張って練習することをおすすめします。そうすることで弦を押える負担も軽減できますし、フィンガー・ピッキングの練習もしやすくなります。フォークギター用のナイロン弦は、普通の弦と同じくらいの値段(1セット1,000円程度~)で購入できます。長崎ギター音楽院でも販売しています。